つつましく笑うダリア

キリッとした空気の日にダリアはよく似合います。

この大輪のダリアを使って装飾させていただきました。


北風又三郎が、今年はじめて笛のやうに青ぞらを叫んで過ぎた時、丘のふもとのやまならしの木はせはしくひらめき、果物くだもの畑の梨なしの実は落ちましたが、このたけ高い三本のダリヤは、ほんのわづか、きらびやかなわらひを揚げただけでした。


赤いダリアは花の女王になろうと思っていました。

白いダリアはつつましく笑っていました。

黄色いダリアはだまって口をつぐみました。


宮沢賢治 まなづるとダァリヤ

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